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仕事をしながら学ぶ!東京理科大学・理学部第二部数学科1年次の最適履修計画と関門突破の秘訣

 

はじめに

 

このブログは、仕事をしながら東京理科大学 理学部第二部数学科に通おうとしている方、あるいはすでに入学されている方に向けて書いています。働きながら学ぶことは大変ですが、この記事では、特に実際の年間スケジュール における1年生の学習に特化した形で、東京理科大学の理学部第二部数学科でどのように学習を進めていくべきかについて、私自身の経験に基づいた具体的な情報をお伝えします。日々の学習方法から、単位取得のポイント、そして仕事と学業を両立させるためのヒントまで、これから学ぶ皆さんの助けになれば幸いです。

 

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1. 1年生の立ち位置

大学での学習が本格的に始まる1年生。特に東京理科大学の理学部第二部数学科では、この1年間が今後の学習を大きく左右する非常に重要な期間となります。

1年次の講義は、大きく分けて2つのポイントがあります。

1つは、大学数学の学習方法に慣れることです。高校までとは異なり、大学数学ではより厳密に定義から定理や命題といった主張を論理的に展開し、証明をする必要があります。この「数学の考え方」を身につけることが、今後の学習の土台となります。

もう1つは、2年次以降の専門科目の基礎となる解析学代数学幾何学といった科目を学ぶことです。これらは数学のどの分野に進むにしても避けては通れない、いわば数学の「言語」を学ぶ期間と言えるでしょう。

この基礎固めの期間を疎かにしてしまうと、2年次以降の専門的な講義についていくのが非常に難しくなります。高校までの学習スタイルから大学の学習スタイルへと思考を切り替え、丁寧に基礎を築き上げていくという心構えが、1年生には何よりも大切です。

 

2. 1年生時に受講した科目の内容

(注:本来、大学では一般教養科目や外国語科目なども履修しますが、ここでは東京理科大学 理学部第二部数学科における専門科目を中心に解説します。)

1年生で受講する科目は、2年次以降の専門的な学びのための土台を築く重要なものです。ここでは、私が1年次に受講した主な数学科の専門科目とその内容、そして学んだ印象について共有します。

2.1. 主要専門科目

  • 解析学1: 高校で学んだ微分積分の知識を土台としつつ、極限、微分積分など関数に関してより厳密に定義や定理について扱います。特に、数列のε-N論法や関数のε-δ論法といった大学数学特有の厳密な議論が登場し、論理的な思考力を養います。講義は、理論を学ぶものと、その理論を使って演習をするものがそれぞれ週1回ずつ開講される通年科目です。

  • 代数学1: 線形代数を扱います。ベクトル、行列、連立1次方程式、線形空間といった概念を学び、高校で扱った行列の延長として、より抽象的な概念へと進んでいきます。講義は、理論を学ぶものと、その理論を使って演習をするものがそれぞれ週1回ずつ開講される通年科目です。

  • 幾何学1A: 点、直線、平面、局面といった図形を扱いますが、いわゆる図形問題とは異なり、微分積分を使って空間を解析することが特徴です。高校まででいう空間図形を、ベクトルや関数を用いて深く理解することを目指します。この講義も、理論を学ぶものと、その理論を使って演習をするものがそれぞれ週1回ずつ開講され、後期に開講されます。

2.2. その他専門関連科目

  • 数学概論: 大学数学を学習するための基礎を学ぶ科目です。具体的には、大学数学で定義を基に定理や命題などの主張を厳密に証明するための考え方や手法を、具体的な問題を通じて習得します。扱う分野は幅広く、解析学代数学、さらには2年次以降で学ぶような内容にも触れることがありますが、それらの分野は比較的優しく教えてくれます。また、論文などで数式を扱う際に使用するTeXの勉強も含まれます。

  • 情報数学序論A/B: 人間が手計算で対応できる範囲には限界があるため、この科目ではMathematicaという数式処理ソフトを用いて解析を行います。主にMathematicaを使い、解析学代数学などで学んだ計算を実際に行うだけでなく、計算結果や関数自体を視覚的にグラフに表示するといった操作ができるようになります。AとBがそれぞれ前期と後期に開講されます。

  • 数学基礎A/B: 主に社会人向けの講義で、長らく高校数学から離れていた学生に向けた内容です。高校数学を演習形式で勉強し直すことができます。高校数学に自信がある場合は受講する必要はありません。AとBがそれぞれ前期と後期に開講されます。

3. 東京理科大学の関門科目について

東京理科大学は、その教育理念として「実力主義」を掲げています。これは、単に学生を卒業させるだけでなく、社会で活躍できる確かな実力を身につけさせることを重視する姿勢の表れです。この実力主義の象徴とも言えるのが、「関門科目」制度です。

1年次において、2年次以降の専門的な学びへ進むための基礎力が備わっているかどうかが厳しく問われます。この基礎学力水準を満たしているかを測るために、特定の講義が関門科目として指定されています。これらの関門科目の単位を所定の期間内に確実に取得することが、次年度への進級条件となるのです。

理学部第二部数学科における1年次の関門科目は以下の通りです。

これらの科目は、数学の基礎の基礎であり、これらをしっかりと理解していなければ、2年次以降に学ぶより高度な専門科目を習得することは困難です。そのため、大学はこれらの科目を「関門」と位置づけ、学生が確実に基礎を固めることを求めています。単に単位を取得するだけでなく、内容を深く理解し、自力で問題を解決できるレベルに達することが重要視されます。

 

4. 関門科目が取得できなかった場合

万が一、1年次の関門科目を所定の期間内に取得できなかった場合、東京理科大学の「実力主義」の厳しさを痛感することになります。この場合、学生は1年間の「原級生」となります。

原級生とは、文字通りもう一度1年生をやり直すことを意味します。落としてしまった関門科目を再履修し、次の進級判定までに必ず単位を取得しなければなりません。これは、単に同じ講義をもう一度受ける以上の意味を持ちます。なぜなら、関門科目をクリアできないと、2年次以降のより専門的な科目の履修が一切認められなくなるからです。結果として、カリキュラムの進行が大幅に遅れ、卒業までの道のりが長引くことになります。

さらに厳しいのは、この原級生の状態が続いた場合です。もし3年連続で2年生に進級できない場合、大学を「除籍」となります。これは、その大学での学籍を失うことを意味し、事実上、大学を辞めざるを得ない状況に追い込まれることになります。

このように、関門科目の取得は、単なる単位取得以上の重みを持っています。2年次以降の学習に進むための最低限の基礎力があるかどうかの判断基準であり、同時に、大学生活を継続するための重要な条件でもあるのです。

5. 社会人におすすめの履修計画

仕事をしながら大学で学ぶ社会人にとって、限られた時間の中で効率的に単位を取得し、卒業を目指すことは非常に重要です。特に1年次の履修計画は、その後の大学生活を大きく左右します。

1年次においては、できるだけ関門科目に集中する形で履修することを強くおすすめします。前述の通り、解析学1、代数学1、幾何学1A、数学概論は、2年次への進級に必須であり、これらを落とすと大きな痛手となります。

一般教養科目や外国語科目は、3年生までにある程度取得すれば問題ありません。これらの科目を計画的に履修していくことで、関門科目に集中する時間を確保できます。もし、欲を出して一般教養や語学の講義を履修しすぎてしまい、結果的に関門科目を落としてしまうと、専門科目の履修もできなくなり、卒業が遅れるだけでなく、無駄な学費を支払うことにもなりかねません。まずは専門の基礎を固めることに専念しましょう。

また、もし過去に大学に通われていた経験があり、一般教養や語学の単位を取得している場合は、入学時に単位認定の申請をすることを検討してください。この際、過去に大学を中退している場合でも問題ありません。重要なのは、履修して単位が認定されていることです。これにより、履修負担を軽減できる可能性があります。ただし、2022年以降に入学する学生は、4年次に一般教養の単位を4単位取得する必要があるため、過去の単位認定だけで全ての要件を満たせるわけではない点には注意が必要です。最新の履修要項を確認し、計画的に単位を取得していくことが重要です。

 

まとめ

東京理科大学 理学部第二部数学科で学ぶ1年生にとって、最初の1年間は専門分野の基礎を固める非常に重要な時期です。特に、解析学1、代数学1、幾何学1A、数学概論といった関門科目はとても重要です。これらの科目は、単なる単位取得だけでなく、その後の専門学習、ひいては大学生活そのものを左右する鍵となります。

社会人として働きながら学ぶことは大きな挑戦ですが、効率的な履修計画を立て、特に1年次は関門科目に集中することで、着実に次のステップへ進むことができます。過去の履修経験がある場合は、単位認定制度も積極的に活用し、自身の学習負担を軽減しましょう。

この情報が、これから東京理科大学夜間数学科での学びを始める方、あるいは現在奮闘されている方の助けとなり、充実した学生生活を送る一助となれば幸いです。